在宅勤務の障害者雇用枠を得た経緯
私には発達障害(ASD/ADHD)と国の特定疾患(指定難病)である強直性脊椎炎があります。20代の頃に就労した時期はありました
全部の期間を合わせても2年6か月ほどしかありません。
また、直近の10年間は自宅にほぼひきこもっていました。もう若いとは言えない年齢に達していましたので、もう働くことをあきらめていました。
そんな私に突然の転機が訪れたのは
2019年の夏でした。
障害者のテレワーク就労に関するセミナーが行われることを、偶然知ったのです。セミナーではテレワーク就労についての説明と、在宅勤務者を募集する企業の説明会が同時開催されました。
障害や病気があって働けないと思っていた私にとって、テレワーク就労はとても魅力的に感じられました。
早速その企業に応募しましたが、結果は不採用。その後、就労継続支援B型事業所で訓練を積み、1年後に再度応募しました。
その結果、2020年12月から今の会社で働けることになったのです。
在宅勤務の障害者雇用枠の業務内容
私の勤務先は特例子会社です。
グループ会社内と社外、両方の業務を行っています。
主な業務としては、データ入力と音声文字起こし業務があります。
データ入力業務にも様々な種類があり、バリエーションに富んだ業務を担当することになります。
音声文字起こし業務は、その名の通り音声ファイルのデータを、Wordに書き起こしていきます。
音源によっては聞き取りづらいものもあるので、完了時には脱力するほどの疲れを感じる業務です。
なお、どの業務にもWチェックするスタッフが置かれています。そのおかげで必要以上に不安にならずにすみます。本当にありがたいシステムだと感じています。
在宅勤務の障害者雇用枠のメリット/デメリット
障害者雇用枠で働く一番のメリットは、働くうえで必要な配慮(いわゆる合理的配慮)を受ける権利が得られることです。
業務内容や勤務時間・使用するツールなど、必要に応じて一般雇用の場合よりも柔軟に対応(変更・許可など)をしていただけます。
私が受けている主な配慮は、以下の通りです。
①座椅子の使用…身体の障害の影響で、長時間椅子に座って作業することが難しいため
②イヤホンマイクの使用…会社から貸与されたヘッドセットの重みと締め付けにより、体調が悪化してしまうため
③できるだけシングルタスクの業務を担当…情報量の多い業務は負担が大きく、メンタル面での不調を来しやすいため
④不調時の対応(上司による面談・勤怠面への配慮・産業医や臨床心理士による面談など)
⑤職場定着支援員による面談および会社への報告・相談など
これらの配慮があることで、安心して働けます。業務や体調によって、新たに配慮事項を追加・検討していただくこともできるので、本当に助かっています。
在宅勤務のメリット
その中で私がメリットと感じていることもいくつかあります。
①通勤がないこと…疲れやすさの軽減につながるため
②自宅で働けること…働きやすい環境づくりができるため
③休憩時間にくつろいで過ごせること…身体の痛みやだるさなどを緩和させることができるため
④業務の指示が主に文字であること(チャット・メール)…視覚的な情報のほうが理解しやすい特性があるため
障害者雇用枠で働くことのデメリット
世間一般で言われているのは賃金の低さです
時給制で働く場合、その地域の最低賃金が適用されることが多いようです。
1か月あたりの給与は、障害年金と併用して生活ができる程度だとイメージしていただくとよいと思います。私の場合、実家暮らしで障害年金を受給しているので、今の給与で生活していくことが可能です。
そのため私にとって賃金の低さは、デメリットというほどのことではありません。私個人が感じているデメリットは、今のところ特に思いつくことがありません。
在宅勤務のデメリット
業務中に分からないことがあっても、すぐに確認できないことです。私の勤務先では主にチャットを使って、質問や相談をすることになっています。
担当者にも都合があるので、チャットを送ってからしばらく待たないと返信がないことも少なくありません。待っている間に、心配や不安な感情がわいてくることも少なくありません。
特に在宅勤務を始めたばかりのころは、この時間がとても苦痛でした。それにも徐々に慣れてきて、ほかの業務を行いながら、落ち着いて待てるようになりました。